犬の歯周病
歯周病は、歯を支える歯周組織(歯肉、歯槽骨、歯根膜)が炎症を起こす病気です。進行すると歯の喪失や全身への影響を及ぼすこと
があります。
1.歯周病の原因
- 主な原因は、歯垢(プラーク)の蓄積です。
- 歯垢は食べかすや細菌の集合体で、歯の表面に付着します。
- 歯垢が硬化すると歯石になりますが、歯石にはさらに細菌が付着しやすくなります。
- 細菌の増殖が、歯肉やその周囲の組織に炎症を引き起こします。
- 歯周ポケット内に一定の環境が整うと、歯周病原因菌が増殖を始めます。
- 歯周病原因菌に対する体の免疫反応の結果、歯を支える骨(歯槽骨)までも破壊されていきます。
2.病態の進行
3.主な症状
- 口臭(最もよく見られる症状)
- 歯茎の赤みや腫れ
- 歯のぐらつき、歯の喪失
- 食事の際の痛みや違和感、食欲低下
- 口周りを気にするしぐさ、よだれ
- 顔や口を触られるのを嫌がる
- くしゃみ、鼻汁
4.治療・検診・予防
治療
全身麻酔下での歯石除去(スケーリング)と歯肉の清掃、歯科レントゲン等で歯周組織の状態確認をします。初期の歯肉炎の場合、この処置で改善する可能性が高いです。


中期以降の歯周炎の場合、複数回に分けての全身麻酔下での治療が必要になる可能性があります。
※歯周組織の状態や自宅での歯ブラシの可否、複数回の全身麻酔が困難など、状況によっては抜歯が必要になる場合があります。



検診
治療終了後は2~3ヶ月毎に歯科検診を行い、歯周病菌検査や口腔内の様子をモニターしていきます。歯石の再付着が認められる場合は、スケーリングを含めた予防的な歯科処置を行います。
予防
毎日の歯磨きが最も効果的な予防方法です。専用の歯ブラシや歯磨きペーストを使用します。デンタルガムなどのオーラルケア製品を併用するとより効果的です。
5.放置するとどうなるか
歯や歯茎の問題
歯の脱落
歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯茎が破壊され、歯が抜け落ちます。
顎の骨折
特に小型犬では、骨の強度が低下し、顎の骨折を引き起こすことがあります。
感染症
外歯ろう・内歯ろう
歯周ポケットや歯の根元で細菌が増殖、膿が溜まり皮膚、歯茎に穴が開きます。


口腔鼻腔ろう
上顎の歯周病が進行すると、歯根にあいた穴が鼻腔まで通じてしまう。
そこから侵入した細菌により、慢性的なくしゃみや鼻汁、鼻出血を引き起こされることがあります。
全身への影響
心臓病(心内膜炎)
口腔内の細菌が血流に乗り、心臓の内膜や弁に炎症を起こすことがあります。
腎疾患・肝疾患
細菌が血液を通じて腎臓や肝臓に達し、炎症や機能障害を引き起こす可能性があります。
慢性的な痛みと生活の質の低下
歯周病による痛みや不快感で、食欲が低下したり、食べ物を噛むのが難しくなることがあります。結果として体重減少や栄養不良に繋がります。
「見た目に問題がないから」と放置すると、進行とともに治療が困難になり、痛みや歯の喪失だけでなく、全身状態に悪影響を与える可能性があります。
歯周病は早期の予防と治療が非常に重要です。症状が軽いうちに対処することで、歯を温存しながら最低限の侵襲で治療することができます。
ペットがより健康な生活を送れるように、お口の健康状態にも気をつけてあげてください。
「歯周病について少し話を聞きたい」などのご相談も歓迎です、お気軽にご来院ください。

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